So-net無料ブログ作成
検索選択

赤城忠治(作曲・演奏・ヴォーカル)vs古波津監督対談#4


古: 僕は意外と映像よりも音楽の段階で完全に物語を捉えられたという実感があります。
撮影中はまだ感情の重なり方なんかをつかみ切れていなかったと後で思いました。音楽にそのフォローを求めてシワ寄せが行ったんだけど、感情の展開とか、より冷静に正確な注文ができた気がする。

赤: 常にそのことは監督と繰り返し話し合いますが、ただ映像的に驚かすことが主ではなく、(もちろんそういう時もありますが)次に来るシーンの余韻の為だったり、時に破壊的なくらい過激な印象をぶつけたかとおもうと、信じられないくらい美しい一枚の巨大絵画ような映像美があらわれたりする。でも基本的には、目に見えないこまやかな感情の動きを、古波津さんは常に構築しながら大切なものを見失わず織り込んでゆける心優しい監督だなぁと思っています。

古: ありがとうございます。赤城さんが相手だからこそ無限の注文を投げられたんだけど。

赤: 想像から更に創造へとかりたてられながらなんて言い方は大げさかも知れないですが、いつもならあんまりしない実験的なアプローチを古波津監督との仕事では常にやろうと思っています。、そのことで最近は新しい自分の可能性を発見したり、楽しませてもらっています。

古: すごいなあと思ったのは時計塔の歌。音楽的にはあまりあそこに重きを置いていなかったから出来上がった時にすごくビックリした。ヴォーカルが入ってとてもいいムード。前の曲の続きから、時計塔のシーンに入る前に一回切ったでしょ。それで新たな曲として聞かせる。それが良かった。どんな発想の転換があったのかな。

赤: 気に入ってくれて嬉しい!僕もあのシーンは名シーンだと思います。僕はもともとヴォーカリストなのでシンセを多用するのと同じぐらいの割合で声を多重したりします。
どの楽器でも出せない音像や心像が生み出せるからです。どこかに必ずいれてやろうと、いつも待ち構えていましたがついにその時が来たと思いました。それがあのシーンでした。
そしてヴァンソンさんとプリシアさんが演じるふたりの人形には再びやのさんに登場ねがいました。二人の人形の気持ちに彼女の声が欠かせなかった。 

古: そう、男と女の心の風景になったんだよね。それがビックリ。あそこは本当に時計塔に乗っているという設定で作ったシーンだけど、あの歌のお陰で、心の映像か区別がつかなくなったのね。それでいい、それがいいんだと思いました。お互いの心の
距離を描いているから実際の距離なんてどうでもいい、と思わせてくれる。

赤: 古波津監督のもうひとつ大好きなところは、シーンのつなぎの時間の感覚ですね。今回も”間”を多用してますね。ひとつのシーンが終わり”黒み”に音楽が鳴り続けていたり、超破壊的な印象が突然のうつくしい引き絵だったり、”間”と”時間軸”の構築感がいつも大好きです。そういう部分にとても日本を感じたりしているんだ。

古: 「マリオネット」に和を見いだせるのは相当ディープな視線だね。僕も映るものはヨーロピアンだからどこで日本を?と思うと、テンポや空間の取り方だと思った。だから嬉しい。
次回はいよいよ赤城さん最終回。赤城さんの目線で見た「マリオネット」を語ってもらいます!

  映画「マリオネット」の詳細はhttp://www.no-work.com/marionette/

nice!(0)  コメント(0) 

赤城忠治(作曲・演奏・ヴォーカル)vs古波津監督対談#3


古: いつも不思議なんだけど、赤城さんはどんな手法で作曲するんだろ う?ギターを 使うんだよね?

赤: ギターもよく使いますが、実は自分でも仕事が終わると、あれはどのようにして作ったか覚えていないんです。 作曲する上で必ずやる順番というのもありません。
自分を変な作曲家だと思います。ここ最近は”一番聞こえない、一番遠い音”から 録音を始めますね。僕の中に”無音の定義”というものがあって、無音を形作っているのは千の雑音だと思っているんですよ。 僕にとってその場にある、空気の音こそが一番重要なのかもしれない。”聞こえていない音”が。

古: 僕、今の質問何回かした事あるんだけど毎回要領を得ない。また今回も分からないっす。
謎のままなんだね。ところで、オープニングの牧歌的な歌はやられました。いきなり遠くの国へ連 れて行かれる感じ。オリジナルの言葉で歌っているから翻訳は誰にもできないんだけど、赤城さんなら知ってるわけだ。あれはどういう内容の歌詞なんだろう?

 水辺に咲く水仙の香りが、私の窓辺まで
    春を運んでくるけど
 わたしは夢の中でその花が散る日を待っている。
    このさみしい夢からはやく私を起こして。
 あなたなら言ってくれる?、これは夢だよと。


 その見知らぬ国では、いくつの太陽が輝いているの?
    それともそこは寒い処?
 運命は私を船に乗せて、遠い異国へと運んでゆくけど
    わたしはあの川の岸辺に、
     心を置き去りにしてしまった。
 恋人よ、あなたならできる。その優しい口づけで
    わたしをこの大地に縛りつけている魔法の鎖から解き放すことが、
     きっと、あなたならできる。
      それはあなたにしかできない。    

古: うおっ!これはこれでまた感動!まさに「マリオネット」の世界だね。そして赤城さんにしか書けない歌です!こういう仕込みというか裏ストーリーがあってのあの曲なのか。
映像で足りない物を音楽が補う、というよりは映像と音楽でそれぞ れ違うものを語っていたりする、見た目によらず複雑な映画なんだよね。音楽コンテ はきっかけや感情線とかすごく細かくて難しかったでしょう?

赤: 一筋縄ではいかない古波津監督の作品にいつも参加する時は心しています。
僕がいつも驚かされるのは、物語を映像化するときの監督の想像力のレンジの広さです。先も言いましたが各シーンで、どの目線で、どの感情線で音楽を語ってほしいといろいろな注文に応えなくてはなりませんが、つながり完成したものを観ると納得しますね。

古: ありがとやんす。さて、次回は繊細な赤城さん音楽のアプローチについて聞きましょう。

  映画「マリオネット」の詳細はhttp://www.no-work.com/marionette/

nice!(0)  コメント(0) 

赤城忠治(作曲・演奏・ヴォーカル)vs古波津監督対談#2


古: 主人公がマリオネット達と、そしてアンバーの大きく二種類いるわけです。感情の動きも全く違う二種類が同時に変化しているから、映像は一つでもアンバーの気持ちだったりマリオネット達の気持ちだったり、付ける音楽で解釈が変わるんです。
演出する側としてはその選択がとても面白かった。

赤: しかしひとつの映画の中に、これほどたくさんの感情表現を持つ音楽が立ち並び流れ続ける短編映画は他に類を見ないですね。
”マリオネット”の夏の大変な撮影が終わり、最初に戴いた荒編集の段階では前半の部分に仮としてモーリスラベルのピアノ曲やコンチェルトが当てられていましたね。監督は最終的に全てオリジナルの音楽に差し替えたいという希望があって、それに対してどうすべきか考えた結果僕はこの映画をより完璧なものに仕上げる為に、3人目の作曲家を起用したいと相談しましたよね。

古: スーパー贅沢なプロジェクトですよ!バチが当たるんじゃないかと今でも心配。ちなみにラベルは最初、少女の空想シーンに当てていましたね。

赤: そこで、オンドマルトノ奏者でクラシック界で世界的に御活躍の原田節さんにお願いすることにしました。じつは原田さんとは ここ数年不思議なご縁で、自分のアルバムや前回の古波津監督作品の ”築城せよ”にも参加していただいたりしていて原田さんは僕の作る音楽の理解者でもあったし、心から尊敬する優れたアーティストでなんでも相談できる友人のひとりでもあったので、彼以外には他に考えられなかったです。
既にできている自分の楽曲の中間にすり合わせるように新たに音楽を入れてゆくことは大変だったと思う。

古: それはやりにくいですよ。後でハラダさんにじっくり聞きましょう!

赤: 最初にあてていた僕の曲を受け原田さんは曲を書き始め、それを受け、今まで作った自分の音楽を更に修正を加えたり、新たに足したりを繰り返しました。正直言ってこの仕事に終わりはあるのか?(笑い)と思うときもありましたが、いつもの事といえば予定通りな成り行きでしたね。(笑)

古: ははは!ぐるぐる回って一度OKになった曲もまた作り直してって、螺旋階段をあがるような展開だったね。とてもスリリングで、作る方はハンパじゃなかったと思うけど、聞く方は聞くたびグレードが上がって感動するんだよね。

赤: ひとつの映像の上で、まったく違う3人の感性のコラボレーションが成功しましたね。ほんとに美しく深い仕上がりを見せましたね。はじめてできあがり観た時嬉しくて感動しましたよ。 

古: 僕もです。さて次回は赤城さんのオープニングテーマ、あの謎の言葉の内容に迫ります!
お楽しみに。



  映画「マリオネット」の詳細はhttp://www.no-work.com/marionette/

nice!(1)  コメント(0) 
メッセージを送る

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。